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WC途中経過の話

久々になってしまいました。

 

WCの日本代表、ノックアウトラウンド初戦の前に書いておこうと思った次第です。

とにかくここまでの結果は素晴らしいです。

まずは、グループリーグ突破という、(あの)戦前の(ひどい)状態から考え得る現実的に目指すことができる最大の目標に対して、突破という結果を出したので100点満点です。

その上で、次のラウンドに全力で向かえるという望外の状況であり、ボーナスで50点ぐらいついてもいいと思っています。

 

ただ、望外というのは世間一般の現実的な見方で、もしかしたら西野さんはその理想を追ったんだろうと思います。

これは巷で話題になっているポーランド戦の戦い方に関わってくることなんですが、スタメンの段階で普通ではあり得ない采配でした。

勝ってるチームはいじるな、という格言もありますが、流れのスポーツであるサッカーにおいて流れに影響しそうな采配というのは相応のリスクがあります。

特に日本の場合は、誰がどうみても予想以上の大活躍、チームとしての戦闘力がピークに達しようかというところでのターンオーバー(実質は一軍二軍に近いものになっちゃいましたが。。)です。

正直、流れもクソもないわけです。いくら同じチームと言っても。

 

その上、香川、大迫、乾、長谷部そしてこの大会では昌子(びっくり!)あたりは代えがききません。

特性の話ではなく、実力が一つ抜けているのはこれしょうがなく、ここら辺の誰かがいないとチーム力は落ちると見受けられます。

特に香川は、目立つ働き以外がすごく効いています。

無駄なパス、と揶揄されることが多い近場のショートパスや、ほんのちょっとした動きなんだけど敵の陣形を数メートル動かすようなことを丁寧に続けています。

そのおかげで敵が窮屈に感じていたり、気持ちよくプレーできなかったり、地味にプレッシャーをかけ続け、いざ攻撃機会となれば数十センチの隙間を生かすという香川の才能を発揮します。

ドルトムントの良かった時に比べて目に見えるゴールが少ないので、期待転じて叩かれるような感じもありますが、否定派の人に香川の必要性を説明して納得してもらうのは至難の技です。

もちろん調子の波はありますし、本田のアホみたいな決定力に比べたらインパクトは小さいものの、相当稀な感覚を持っているはずです。

一見役に立たないようなその感覚ですが、ひたすらそれを理解して付き合ってくれる周囲(乾や柴崎みたいな)があれば、見たことのないゴールまでの展開が見られることがあります。

遠藤みたいに、よく分からんけどなんかすごい、みたいなイメージが一般的になればいいのに。

 

というわけで、そんな主力抜きというのはものすごいリスクなわけです。

では、それは何のためのリスクなのか?西野さんはそんなリスクと何を天秤にかけたのか?

ベスト8、ベルギー撃破、そしてその先を見ているのはケイスケホンダだけではありません。

 

確かに低調だったポーランド戦。

もしかベストメンバーで臨み、いい戦いをしましょう。勝つか負けるか、はたまた引き分けかは全くわかりません。

サッカーでは、ゲームがかみ合う、という感覚もあって、相性が結構大事だったりします。

日本が調子良ければ勝てるというものではなかったりします。特にWCみたいな本気で勝ちだけを目指す場では。

どんなにいい展開で攻めていても相手のゴールキーパーが確変して点が入らずそのうち逆にラッキーパンチ、なんてものすごくあるわけです(当の西野さんマイアミの奇跡もまさに)。

 

それは置いておいて、ポーランド戦で素晴らしいサッカーを見せた後、いざ負けたら終わりのノックアウト、ベルギー戦。

そこで、傷んだメンバーを代えたりするかもしれません。疲労もありポーランド戦のごとく低調な試合。試合中の復調はどう考えても至難の技です。

色々出し切った後に、本当の勝負に挑まなければならない。わかっちゃいるけどどうにもならない。

そんなのもう嫌です。

 

グループリーグを突破するのに全力を尽くさなければならなくて、勝てそうな相手に勝ちきる余力が残っていない、といういつもの日本ではないということです、今回は。

日本サッカー史上初めて、WCのノックアウトラウンドにちゃんと挑戦できます。

そう、これはWCという、日程のある、順番のある、流れのある大会なわけです。

 

というわけで、その理想(WC制覇)を追うためにリスクを負ったので、なんとかして結果、グループリーグ突破を実現したいわけです。

勝ち分けであれば無条件、もちろん最初はそれを目指して試合に臨むはずです。

 

しかしそこはいつもの日本、いつもの準備不足の日本。

高いレベルの共通理解があるメンバーか、高いレベルのいろいろを短期集中で共有できているメンバーか、そのどちらでもない場合のふわっとした日本。

たまにいい局面もある、くらいの感じの試合で、いかにも厳しい。

サッカーは流れのスポーツなので、流れが作れないのは致命的なわけです。

流れを失ってから、例えメンバーを交代人数関係なくベスメンに変えたとしても、流れを取り戻せるとは限りませんし、その中で活躍できるとも限りません。

この日は組織的で連動したチームにはもうならない、ということは早い段階で見て取れたのではないでしょうか。

 

失点は事故っちゃ事故(酒井ゴーは頑張ったものの、やはり守備がほんのちょっと軽く、五分五分の状況だと0.5ぐらい負ける感じ。FK時もほんの手の一押しで負けたために、相手がゴールへ繋がるたった一筋のラインに入られてしまった感。ちょっと手押しを頑張れれば先にそこに入って「居られる」はずだった。自分が「そこに居る」ことによって相手が「そこに居られない」というのはすごく大事です)ですが、結果なのでしょうがない。

その状況で、長友の裏を取られた2発目(全く同じ展開で2回目、おそらくこの日はこの速攻を止める術がなかったと思われる)とコロンビアの得点、この段階での決断は必然です。

普通に状況を考えたら、選択肢はひとつだけ、「絶対に失点だけは避ける」です。

・もし一点返して同点になっても、グループ2位(もしセネガルが追いついたらグループ1位)。

・何かの間違いでもう一点取られようものなら、得失点差でグループ3位(セネガルがもう一点取られたらグループ2位)。

・0-1のまま終わったら、グループ2位

 

サッカーは相手がいて試合が成り立つので、守り切ろうと思って守りきれるものではありません。

ポーランドが大量得点が必要な状況であれば、日本が同じことをしたとしてももっとつっかけてくるだろうし、日本も最終ラインだけでは回しきれません。

そこまでの2戦の好結果があの状況を生んだわけです。

それにしても心臓に悪い10分間に変わりはありません。

時間の進みのなんと遅いことか!

でも、日本の試合でこんなギリギリが味わえるとは。そしてそのふてぶてしさにグッとくるものすらありました。

ドーハとは隔世の感があるなと感動してしまいました。

(ドーハの時は、終了直前にカズがいい動きで相手の裏を伺い、ラモスがロブを狙ったものの足の疲労で距離感が狂い逆襲のきっかけを与えてしまったとのこと。攻める必要はなく、それこそ相手にボールを渡さない数分間を過ごせば、日本の歴史が変わっていた。)

 

メンバー選定のリスクが悪い方に全力で発露してしまった(西野さんは多分もう少しできると思ってたんじゃないか)ところを、最小限の被害で抑えた好采配と言えるでしょう。

おかげで、ベルギーと全力の打ち合いが期待できます。

もちろん勝てる芽は少ないと思いますが、希望を持って見ることができます。

繰り返しになりますが、せっかくのこんな楽しいイベントでふわっとバタバタ日本を見せられて、「頑張っているけど手の打ちようの無い感じ」に閉口するよりも、全てを出し切って挑むであろう代表を応援できることがどれだけ幸せなことか!